文系フリーランスまたは休日低音大堤琴奏者の戯言

翻訳を生業とする文系フリーランスです。日々思い付く事を書いてます。

音楽

サイモン・ラトルとマーラーの交響曲6番(または曲順の変わる交響曲)

ベルリンフィルの音楽監督を長年にわたり努めていたサイモン・ラトルが今年退任しました。その最後のコンサートがNHKのEテレで放映されていたのを録画していたのですが、先日やっと見る事ができました。曲はタイトルにも書いた、グスタフ・マーラーの交響曲6…

バーンスタインが伴奏したブラームス/ピアノ協奏曲第1番

以前生誕百年の映画監督として川島雄三について書きましたが、音楽界にも生誕百年の人がいます。レナード・バーンスタインです。アメリカ合衆国生まれの指揮者として、また作曲家としても大きな功績を残した人です。「ウェストサイドストーリー」の音楽を作…

シベリウス「春の歌」

今週のお題「わたしの春うた」 「春うた」ってお題が出てますので、ちょっと趣旨は違いますが表題の曲について。 日本でも一定の人気があるフィンランドの作曲家、シベリウスが若い時に書いた曲です。 待ちわびた春!というような輝かしい音楽ではなく、長い…

ベートーヴェン第九の合唱部分だけ演奏する事について

日本では年末になるとベートーヴェンの第九があちこちで演奏されます。これは日本だけの習慣のようです。元々は第一次大戦の捕虜収容所での演奏が起源だと言われています。来る年に希望を繋ぐ、という意味ではまあ良い風習だと思います。 ただし、ベートーヴ…

実演で聴きたかったスラットキン/デトロイト響のコープランド三番

録画しておいたスラットキン/デトロイト響の日本公演を視聴しました。 冒頭のインタビューでスラットキンは「アメリカのオーケストラなのだから、ドイツやロシアの曲ではなく、アメリカの曲を演奏したい」と語っていました。実際この演奏会はアメリカ音楽プ…

作品番号にこだわったプロコフィエフ

旧ソ連の作曲家でプロコフィエフという人がいます。語りの付いた「ピーターと狼」や「ロメオとジュリエット」のバレエ音楽などが有名です。交響曲は7曲作曲しています。そのうちの6番目の交響曲を今度演奏します。フラット♭が6つも付いた、変ホ短調という、なか…

みなとみらい小ホールで聴くオンドマルトノ

先日、シンフォニエッタ静岡の演奏会の後半について書きましたが、今日は書き残していた前半について書こうと思います。前半はオンドマルトノという電子楽器をフィーチャーしたステージでした。演奏するのはこの楽器の奏者として世界的に有名な原田節(はら…

紹介して欲しかったバルトークのエピソード

金曜の夜9時半から、NHKのEテレで「ららら♪クラシック」という番組をやってます。先日はバルトークの「管弦楽のための協奏曲」を取り上げていました。20世紀に生み出された管弦楽のための音楽の最高傑作のひとつです。私も大好きな曲で、演奏経験もありますが、…

1970年生まれの作曲家、ギョーム・コネッソンの音楽を聴く

ちょっと変わった演奏会に来ました。シンフォニエッタ静岡の第49回定期公演(第三回東京定期公演)です。 前半については別項を設ける事にして、ギョーム・コネッソンの曲を4曲並べた後半について先に書きます。 この作曲家は1970年、パリ近郊生まれ。現役バリ…

違和感がある「ストラディバリウス負けた」

どうも表題のような記事が某新聞に出ているようです。 http://www.yomiuri.co.jp/science/20170509-OYT1T50002.html 会員じゃないので全部読めない事もありますが、違和感を覚えます。 以下が関係ありそうなので、後で真面目に読んで見解をまとめたいと思い…

マーラー7番が「夜の歌」である低音大堤琴的根拠

えー、しつこくこの曲の話をするのは、近々演奏するから、なんですが、今日はこの曲の副題「夜の歌」の低音大堤琴的根拠について説明します。 曲の構造 交響曲っていうのは大抵複数の楽章でできています。その第一楽章は多くの場合ソナタ形式という形式で書…

意外な名演、と言っては失礼なジョナサン・ノット/バンベルク交響楽団のマーラー7番

ジョナサン・ノットというイギリス出身の指揮者がいて、現在東京交響楽団の音楽監督を務めています。彼がドイツのバンベルク交響楽団を指揮してマーラー7番を演奏した録音がspotifyで聴けるので聴いてみました。 マーラーの7番はマーラーの交響曲の中では複…

アバド/ルツェルン祝祭管弦楽団のマーラー7番を視聴する

先日知人宅にお邪魔する機会があり、その時に表題のものを聴きました。2005年に収録されたものですが、私が視聴するのは初めてでした。 おそらくこれと同じものです。 この管弦楽団は名前が示すとおり、ルツェルン音楽祭のために編成される団体なのですが、…

フサ/プラハ1968のための音楽(NHK交響楽団 第1855回定期)

曲順こそ真ん中ですが、この演奏会のメインはやはり、下野さんが何度も演奏しているこの曲だと思います。プラハの春事件を題材とし、地元の吹奏楽団のために最初書かれ、後に指揮者のジョージ・セルのアドバイスで管弦楽版が作られたという経緯のある曲です…

マルティヌー/リディツェへの追悼(NHK交響楽団 第1855回定期)

1月28日のN響定期、どちらかと言えば目当ては前半2曲でした。戦争、紛争をきっかけに書かれたこの2曲、下野さんは他の在京オケでも演奏しており、得意にしているようです。今日は1曲めのマルティヌー「リディツェへの追悼(1943)」について書きます。ちなみに…

NHK交響楽団第1855回 定期公演 Aプログラム

表題の演奏会に行きました。 日時:2017年1月28日(土) 開場5:00pm 開演6:00pm 場所:NHKホール 曲目: ボフスラフ・マルティヌー/リディツェへの追悼(1943) カレル・フサ/プラハ1968年のための音楽(管弦楽版/1969) ヨハネス・ブラームス/ヴァイオリン…