アバド/ルツェルン祝祭管弦楽団のマーラー7番を視聴する
先日知人宅にお邪魔する機会があり、その時に表題のものを聴きました。2005年に収録されたものですが、私が視聴するのは初めてでした。
この管弦楽団は名前が示すとおり、ルツェルン音楽祭のために編成される団体なのですが、アバドが結成したマーラー室内管弦楽団のメンバーが中心のようです。つまりアバドの作る音楽に共感し、アバドと一緒に音楽を作るために集まったメンバーと言えるでしょう。アバドの指揮は単純に拍子を刻んでいくものではなく、音楽の流れを示していくものであり、こう振られては今の私では演奏できないと思う所も多かったのですが、さすがにそのような指揮でもしっかり音楽を作っていました。
アバドは癌を患った後で流石に歳を感じさせる所もありましたが、時に指揮台から落ちそうに見えるくらいダイナミックに、テンポや表情の変化の激しいこの曲をまさに思うがままに指揮しているように見えました。何よりも時々見せる楽しげな表題や、演奏が終わった後の会心の表情は年齢を感じさせないものでした。アバドはこういう、自分に共感して仲間意識を持って音楽を作っていくオーケストラとの演奏で本領を発揮した人だったのかも知れません。