文系フリーランスまたは休日低音大堤琴奏者の戯言

翻訳を生業とする文系フリーランスです。日々思い付く事を書いてます。

紹介して欲しかったバルトークのエピソード

金曜の夜9時半から、NHKEテレで「ららら♪クラシック」という番組をやってます。先日はバルトークの「管弦楽のための協奏曲」を取り上げていました。20世紀に生み出された管弦楽のための音楽の最高傑作のひとつです。私も大好きな曲で、演奏経験もありますが、難曲です。ハンガリー民謡やレハールメリー・ウィドウ」からの引用についての説明、また作曲家の吉松隆さんを招いて行った、ロックへの影響などについての解説は、この番組らしい、曲に親しみやすいアプローチだなあと思いました。

ただし、作曲に関するエピソードとして有名な、指揮者のクーセヴィツキーがバルトークのアパートを訪れ、500ドルの小切手を置いて行った話は、この番組の前身であるN響アワーの時代になかにし礼さんも紹介した事があり、今更かなあという印象を受けました。

直接この曲にはあまり関係ないのですが、バルトークには「猫の言葉を理解できた」という、非常に興味深いエピソードがあるのです。これは要するに、普通の人間よりもはるかに高い音が聞こえた、という事です。このエピソードを紹介して、猫に聴かせるとか、猫愛好家を招いて意見を訊くとか、そういう企画があれば、いい感じに柔らかいこの番組らしくなったんじゃないかと思いました。