文系フリーランスまたは休日低音大堤琴奏者の戯言

翻訳を生業とする文系フリーランスです。日々思い付く事を書いてます。

ベートーヴェン第九の合唱部分だけ演奏する事について

日本では年末になるとベートーヴェンの第九があちこちで演奏されます。これは日本だけの習慣のようです。元々は第一次大戦の捕虜収容所での演奏が起源だと言われています。来る年に希望を繋ぐ、という意味ではまあ良い風習だと思います。

ただし、ベートーヴェンの第九交響曲というのは、全部やると1時間を超える、結構長い曲です。という事で有名な合唱が出てくる最後の楽章だけを演奏する場合があります。これは長い曲に慣れていない人たちに聞いてもらうには有効な方法に見えますが、この曲では都合が悪い事もあります。合唱が入る四楽章の最初の部分には、その前の3つの楽章のテーマを「いや、これじゃない」と否定する場面があるのです。恐らく最初にこれだけ聴いたのでは何だかわからないはずです。有名な曲なんだから予習すれば良いと言ってしまえばそれまでなんですが、普通の人に予習して演奏会に来いというのもどうかと私は思います。

どうせ全曲演奏しないなら解説付きで、四楽章に出てくるそれまでのテーマを演奏してから、四楽章を演奏すれば良いと思うのですが、そういう企画は流行らないのかなあ。