マヤの一生
童話作家として有名な椋鳩十さんの本です。Twitterでタイトルを見かけたので図書館で借りて読んで見ました。
前半では、田舎の大きな貸家でにわとりのピピ、猫のペル、そして犬のマヤがけんかしながら徐々に仲良くなっていき、家族となっていく様子が描かれています。
その微笑ましい空気が途中から一変します。遠い所の出来事だと思っていた満州事変が徐々に、日々の暮らしに影を落として行きます。
食料が配給制になると、犬など飼っている場合ではない、という話になり、徐々に肩身が狭くなっていきます。そして悲劇的な結末を迎えます。
確かに周りの人から見ればただの犬だったかも知れません。しかし、そうでない事は最後の場面を見れば明らかです。前半で描かれているように、紆余曲折を経て大切な家族になったのです。
にわとり、猫、犬。一見妙な組合せの動物たちが仲良く出来るのに、何故人間には出来ないのか。前半の動物たちの様子を見ると、小さな町の中で争っていく人間たちが愚かに見えてきます。
残酷な場面は人づての話として、柔らかく描写しています。ただしその場に居合わせた子供達は熱を出して寝込んでしまいます。特にマヤを可愛がっていた次男にとってはショックな出来事だったでしょう。
何か起きた時に最初に犠牲になるのはやはり弱い者なのです。そのような事態を決して招いてはいけないという思いを強くしました。是非色んな人に手に取ってもらいたい本です。
- 作者: 椋鳩十
- 出版社/メーカー: 大日本図書
- 発売日: 2010/02/01
- メディア: 単行本
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