バーンスタインが伴奏したブラームス/ピアノ協奏曲第1番
以前生誕百年の映画監督として川島雄三について書きましたが、音楽界にも生誕百年の人がいます。レナード・バーンスタインです。アメリカ合衆国生まれの指揮者として、また作曲家としても大きな功績を残した人です。「ウェストサイドストーリー」の音楽を作曲した人と言えばピンとくる人も多いかも知れませんね。
今回はカナダ出身のピアニスト、グレン・グールドの伴奏をした、ブラームスのピアノ協奏曲第1番について書きます。
この演奏に先立って、バーンスタインがスピーチしています。大体こんな内容です。
「これからグールド氏とブラームスのピアノ協奏曲第1番を演奏します。ただし、そのテンポに関して、私は同意しておりません。協奏曲のテンポを決めるのは誰か、それはその時々に応じて異なり、一概には言えません。今回は決定権をソリストに委ね、私はそれに従います。ただしグールド氏との共演はこれが最後になります。」
肝心の演奏ですが、グールドがストコフスキー指揮のアメリカ交響楽団と共演したベートーヴェン「皇帝」ほどは遅くありません。堂々とした感しで、それほどテンポに違和感はありません。全体的になかなかの名演だと思います。
上記のような指揮者のスピーチの後ですが、グールドは相変わらずマイペースです。自分が決めた遅めのテンポで、時折唸り声を上げながら、情感たっぷりに歌い上げています。
しかしながら、この曲はやはり、指揮者の堅実なサポートが無ければ名演として成立しません。自分の意図しないテンポでありながらしっかりと仕事をしているバーンスタインの方が一枚上手というべきでしょうか。
そういえば後日グールドがラジオ出演した時のトークはまだ聞いていません…
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