マーラー7番が「夜の歌」である低音大堤琴的根拠
えー、しつこくこの曲の話をするのは、近々演奏するから、なんですが、今日はこの曲の副題「夜の歌」の低音大堤琴的根拠について説明します。
曲の構造
交響曲っていうのは大抵複数の楽章でできています。その第一楽章は多くの場合ソナタ形式という形式で書かれています。簡単に言うと、最初にテーマを(多くの場合2つ)演奏して、次にそのテーマを形を変えて演奏し、その後またテーマを演奏します。それぞれ主題提示部、展開部、再現部と呼ばれます。歌なんかだと真ん中を「サビ」なんて言いますね。
再現部について
伝統的な再現部
で、最初に演奏した主題を再び演奏する再現部はやはり重要な箇所であり、ベートーヴェンはあの第九の一楽章、二楽章でこの再現部が一番盛り上がるように音楽を書いています。
マーラー7番の再現部
さて、話をマーラー7番に戻します。この一楽章の再現部では、再現するメロディを担当するのは低音大堤琴(コントラバス)です。しかも、全員ではなく半分の人数で弾きます。 で、これに途中からトロンボーンのメロディが被さります。つまり、重要な再現主題が段々聞こえなくなって来るのです。
どうでしょう。一番大事な再現するメロディが、それまで出て来なかったメロディでかき消されてしまうのです。普段見えるものが見えない「夜」を描いた音楽らしいと思いませんか。(ちなみに演奏しているメンバーでも、ここでコントラバスが主題を弾いている事に気付いてない人が何人もいました。
こう言う不思議な曲ですが、人間は常に明るい太陽だけを眺めて生きている訳ではありません。この曲、初演の評判はいまいちだったようですが、私はその影の面に非常に惹かれます。