文系フリーランスまたは休日低音大堤琴奏者の戯言

翻訳を生業とする文系フリーランスです。日々思い付く事を書いてます。

川島監督が「赤信号」に込めた意味

今日は川島雄三監督の命日です。

お誕生日の時に生誕100年と紹介しましたが、もう亡くなってから55年経ちます。

んー、短い生涯ですが、その短い生涯で日本映画界に大きな足跡を残しました。

今年の始めに見た「洲崎パラダイス赤信号」もその川島監督の作品でした。

洲崎というのは、今で言うと江東区の東陽という地名になります。

洲崎橋の先は赤線地帯でした。

そこにやって来た男女の二人連れ、その橋は渡らず、その手前の飲み屋に入ります。

女はそこで働くようになります。

男は近所の蕎麦屋で出前持ちをするようになります。

女には電気屋の愛人になる話などが持ち上がりますが、最終的には男とよりを戻して洲崎から去って行きます。

この女、実は以前洲崎の中で働いていた事が話の経過で明らかになります。

もしかしたらそのつもりでここに来たのかも知れません。

しかし、橋を渡る事はありませんでした。

何が彼女を引き留めたのか。

男の存在か、それとも他の何かなのか。

川島監督はその何かを「赤信号」という言葉で暗示しました。

そう、この映画、原作は「洲崎パラダイス」というタイトルなのです。

パラダイスの手前で立ち止まった男と女。

彼らにとっての赤信号とは何だったのか。

川島監督は謎をかけたまま映画を終わらせます。

謎と深い余韻が残ります。

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