文学は不要か?(今週のお題「読書の秋」)
少し前ですけど、大学から人文系の学部を無くす、と言うニュースがありました。その後この話がどうなったのかわかりませんが、こういう事を言うのは多分あまり本を読まない人たちなんだと思います。
ロミオとジュリエットで描かれる、親同士の争いに悩む恋人たちの姿を見て、共感を覚える人は少なからずいるのではないでしょうか。
ラスコリニコフの行為は確かに犯罪です。しかし彼が犯罪を犯すに至った経緯を見ると、その原因となった貧困や格差は現代にも確実に存在します。
そのラスコリニコフの心を動かすソーニャの姿。この人物像はドストエフスキーの理想を描いたものかも知れませんが、読む側にも希望を与えてくれる存在です。
また、幻の馬車で飲んだくれの駄目男を気にかけるシスターの姿はまさしくすべての母親の姿です。
どの登場人物にも作者の吹き込んだ命があります。その命が失われない限り、文学の存在意義も失われません。