シベリウス「春の歌」
今週のお題「わたしの春うた」
「春うた」ってお題が出てますので、ちょっと趣旨は違いますが表題の曲について。
日本でも一定の人気があるフィンランドの作曲家、シベリウスが若い時に書いた曲です。
待ちわびた春!というような輝かしい音楽ではなく、長い冬が終わってホッとしたような、そんな感じの曲です。
この曲を文字通りに春、ちょうど今頃演奏した事があったのですが、練習の時に指揮者の先生から「北国の春は我々が考える春とはちょっと違う」ようなお話があり、またロシアの作曲家グラズノフの「四季」というバレエ音楽は「冬」から始まるという話を聞いた事があったので、なんとなくそんなものかと思っていました。
ところが、その後再度演奏する機会があって、その時に受け取った楽譜には「春の悲しみ」というような意味のタイトルが書いてあったのです。
上には「長い冬が終わってほっとした」と書きましたが、言われてみれば何となく物悲しいような印象があります。
これは作曲途中で付けられたタイトルであり、最終的なものではないのですが、上に書いた春の演奏会の練習期間中に悲しい出来事があったので、その時の曲である「春の歌」に「春の悲しみ」というタイトルが一時付けられていた事が私には偶然とは思えないのです。
どんなつらい事があっても必ず春はやって来る。つらい記憶は残るかも知れないけれど、また前に進む事ができる。そんなメッセージが込められているんじゃないかと思っています。
春の想いが人それぞれ異なるように、音楽に対する想いも様々だと思います。こんな思い出もまあ、たまにはあるって事で。