文系フリーランスまたは休日低音大堤琴奏者の戯言

翻訳を生業とする文系フリーランスです。日々思い付く事を書いてます。

サイモン・ラトルとマーラーの交響曲6番(または曲順の変わる交響曲)

ベルリンフィル音楽監督を長年にわたり努めていたサイモン・ラトルが今年退任しました。その最後のコンサートがNHKEテレで放映されていたのを録画していたのですが、先日やっと見る事ができました。曲はタイトルにも書いた、グスタフ・マーラー交響曲6番です。

この曲はラトルとベルリンフィルが初めて共演した曲でもあるようです。颯爽としたテンポの一楽章で始まり、ゆっくりしたテンポの二楽章が続きます。三楽章はスケルツォと呼ばれる速いテンポの音楽。その後に続く四楽章はゆっくりした序奏で始まり、壮大な音のドラマが30分近くに渡って続く大規模な楽章です。全体の演奏時間は1時間を超えます。

えーと、何気にこう書いて来ましたが、Wikipediaを見ると曲の順序が違っています。

交響曲第6番 (マーラー) - Wikipedia

実はこの曲、長年Wikipediaに記載された順番で演奏されてきました。

ラトルが今回演奏した順序は、国際マーラー協会が2003年に「マーラーの最終決定」であると発表したものですが、現在でもWikipedia記載の順序で演奏される事のほうが多いかも知れません。

ところがラトルは、国際的に注目され出した頃に常任であったバーミンガム交響楽団との1989年の録音でも今回と同じ順序で演奏しています。ラトルの他にも、有名どころでは前音楽監督アバドがこの順番で演奏した事があるようですが、この頃この順序で演奏する指揮者は明らかに少数派でした。

私はこの曲をこれまで3回演奏しています。大好きな曲の1つです。私なりの根拠で、ラトルの演奏している曲順が正しいんじゃないかと思っています。

ただし、マーラー本人ですら迷ったくらいですから、従来慣例となっていたWikipedia記載の曲順にもそれなりの根拠はあると思っています。だいぶ長くなってきたのでこの話はまた項を改めて書いてみようと思います。