文系フリーランスまたは休日低音大堤琴奏者の戯言

翻訳を生業とする文系フリーランスです。日々思い付く事を書いてます。

名声とその代償~ロミー・シュナイダーの命日に

昨日ブログを投稿した後で、ロミー・シュナイダーの命日だった事を知りました。享年43歳。早すぎる死です。

私の印象に残っているのは、何といってもヴィスコンティ「ルートヴィヒ」でのエリザベート役です。あの映画を見た後で本物のエリザベート肖像画を見て「あれ、こんな人?」と思ったくらいです。それくらい凛として気品に溢れたあの姿、ルートヴィヒが思いを告げられなかったのも無理も無いと思わせる姿でした。

彼女のニックネームは「シシー」でした。これはエリザベートの子供の頃の愛称で、まさにこの役を演じるべき人だったんだ、と以前は思っていましたが、彼女自身は自分の演じる役柄を限定する事になってしまったこのニックネームを必ずしも好んでいなかったようです。「あわれ彼女は娼婦」や「Il Laboro」でその影を吹き飛ばすきっかけをくれたヴィスコンティ監督の映画だったからこそ、この役を完璧に演じ切る事ができたのかも知れません。

私生活ではアラン・ドロンとの婚約解消や二度の結婚と離婚、そして息子の交通事故死など、決して平坦とは言えないものだったようです。名声とその代償、などと言ってしまうには余りに気の毒ですが、スクリーンの彼女はそんな事を感じさせません。我々にできるのは映画を見る事、その素晴らしさを伝える事だけです。

ロミー・シュナイダー - Wikipedia